
肝臓
肝臓
人間の身体には、体内環境を一定の状態に保ち続けようとするしくみがあります。この状態を保つために休息が必要になると、体が重くて力が入らない、何もする気になれないなどの倦怠感・だるさの症状が現れます。 倦怠感やだるさには、過労、睡眠不足、不規則な生活、精神的なストレスの蓄積、栄養不足といった日常生活から生じるものがあります。
これらは、規則正しい生活、栄養バランスのとれた食事、心身のリフレッシュ、十分な休養、適度な運動によって予防・解消できることがあります。激しい運動や過度な労働など、身体を動かしたときに生じる倦怠感やだるさは、ゆっくり休養すると数日で回復します。
十分な休養をとることなどで回復しますが、休養しても倦怠感やだるさが解消されず、長い間持続する場合は、何らかの病気が背景にある場合があります。
例えば、感染症、貧血、心臓や肝臓の病気、糖尿病や甲状腺機能異常、うつ病や心身症、低血圧、悪性腫瘍(がん)、睡眠時無呼吸症候群などです。
症状とその特徴 | 説明 | 疑われる主な病気 |
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空気中のウイルスが気道内に入って増殖する。上気道に急性の炎症が起こる | 風邪 |
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主に肝炎ウイルスへの感染が原因。肝硬変や肝臓がんへの進行を予防するため、早期の治療が大切 | 急性肝炎 慢性肝炎(の増悪) |
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全身に酸素を運ぶ赤血球やヘモグロビンが不足する。 |
約9割は鉄分不足による 鉄欠乏性貧血 |
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睡眠中に無呼吸状態を繰り返すため、睡眠が浅くなり、体を休めることができない | 睡眠時無呼吸症候群 |
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血糖値を下げるインスリンの分泌量が減ったり、働きが悪くなったりすることで、高血糖状態が続く | 糖尿病 |
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女性ホルモンが急激に減少することで起こる。40歳代半ばに始まることが多い | 更年期障害 |
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日常生活に支障をきたす強い疲労感が長期間続く。女性に多い | 慢性疲労症候群 |
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こころの症状がほぼ毎日、2週間以上続き、生活に支障をきたす。身体の症状が出ることもある | うつ病 |
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思春期前後の小児に多くみられる。自律神経の機能が低下して循環器系の調節がうまくいかなくなる | 起立性調節障害 |
人間の体のおよそ60%は水分で、そのうち40%は細胞内(細胞内液)に、20%は細胞外(細胞外液)にあります。このうち、細胞外液がむくみに関わってきます。通常、細胞外液は、血液(血漿やリンパ液)が5%、細胞と細胞の間にある水分(組織間液)が15%の割合で成り立っています。
これらの水分は毛細血管を通じて行き来して、細胞に栄養を届けたり、老廃物を除去したりしていますが、通常は体内の水分の割合は維持されています。しかし、そのバランスが崩れて組織と細胞の間に余分な水分が溜まると、むくみが発生するのです。
むくみは、毛細血管から細胞の間に流れ出る水分が多くなったり、毛細血管やリンパ管へ吸収される水分が減ることによって起こります。どんな時にそれが起こるのかというと、多くは血液の循環が悪くなったときです。
とくに脚は心臓より下にあるので重力の影響で血液が心臓に戻りにくく、ふくらはぎの筋ポンプ作用と静脈の逆流防止弁の働きによって血液を心臓に戻しています。しかし、立ったり、座ったりしたまま体をあまり動かさないでいると、ふくらはぎの筋ポンプが働かず足の血液の循環が悪くなります。
また、スタイルをよく見せるためにガードルなど窮屈な下着を身につけると血液循環が悪くなり、むくみにつながる場合があります。食べ物では、塩分の摂り過ぎがむくみに直結します。体には塩分濃度を一定に保とうとする働きがあるので、塩分を摂り過ぎるとそれを薄めるために水分を溜め込みやすくなるのです。
むくみがひどい時に疑われるのが「腎臓」や「心臓」「肝臓」の病気。 押すと指の跡がつくのが特徴で、全身がむくみます。
みぞおちなど上腹部の痛みは、食道・胃・十二指腸の疾患によって生じることがあります。胸やけや呑酸がある場合は逆流性食道炎、いきなり症状が起こった場合は急性胃炎が疑われます。 また、食後に痛みが起こる場合は胃潰瘍、空腹時に痛みが生じる場合は十二指腸潰瘍の可能性があります。進行した胃がんでもみぞおちの痛みが生じることがあり、注意が必要です。
さらに、一般的に盲腸と呼ばれることがある虫垂炎では、最初にみぞおち周辺の痛みが起こり、徐々に腹部右下に痛みが移動していくことが特徴です。膵炎もみぞおちから左腹部、背中、肩といった広い範囲に痛みを生じることがあります。
背部痛には大きく分けて3つの原因があります。 一つ目は心臓系、二つ目は腎臓系、三つ目は消化器系。 心臓系のご病気は、心筋梗塞や狭心症・大動脈解離などにより激しい胸の痛みや背部痛の症状が起こります。腎臓系のご病気は、尿管結石や腎盂腎炎などにより腰背部に痛みが起こります。消化器系のご病気で背部痛として問題となるのは、膵臓のご病気です。膵炎(急性膵炎、慢性膵炎)は、膵臓の炎症により上腹部痛や背部痛が起こります。
急性膵炎の40%がアルコール摂取によるものと言われています。アルコール摂取後に腹痛や背部痛などの膵臓の炎症による疼痛がある場合には急性膵炎が疑われます。慢性膵炎は、アルコールの慢性的な過剰摂取により生じることが多いと言われています。また、膵癌でも背部痛の症状があることがあります。
背部痛が認められる場合には、膵臓の検査を積極的に行う必要があると考えられています。膵臓のご病気を疑う場合には、CT・MRI・超音波内視鏡検査(EUS)などの画像診断が有効です。
急な体重減少は、がんなどの悪性疾患を疑う「警告症状」の1つであり、早急な原因究明が求められます。よく「どのくらい体重が減ったら病的な体重減少ですか?」と聞かれますが、意図していないにもかかわらず6~12ヶ月の間に5%以上の体重減少がある場合、医学的に病的な体重減少と考えます。 例えば体重60kgの方であれば3kg程度に相当します。
黄疸とは、血液の中のビリルビンという物質が増加し、皮膚や目の白いところが橙色~褐色に見える病気です。 ビリルビンは、赤血球の中身から作られます。赤血球中のヘモグロビンという物質が脾臓などでビリルビンになります。そして血液で運ばれて肝臓に行きます。肝臓で形を変えて、多くは胆汁のもととなり腸に出され、うんちといっしょに体の外に出されます。 ビリルビンが体の外に出されるまでに関係する臓器はたくさんあります。
肝臓から小腸に胆汁という液体を出す管(総胆管)に石ができることです。 この石を胆石といいます。 胆石が胆管の出口付近の狭くなっている部分にはまってしまい、胆汁の流れがせき止められてしまうとビリルビンが体の外に出せなくなって、黄疸が出ます。 寒気、発熱やお腹の痛みが一緒に見られることが多いです。
肝臓のビリルビンを処理する力が低下し、血液中のビリルビンの濃度が上がるため黄疸となります。急性肝炎は、アルコールや、B型肝炎ウイルスや免疫系の異常によって起こることもあります。 だるさや食事がとれなくなることもあり、医療機関の受診が必要です。
膵臓がんは、消化液を作ったり血液の中の糖の調節をするホルモンを作ったりする膵臓にできる癌です。 膵臓は15cmほどの長さのある細長い臓器ですが、癌ができる場所によっては黄疸がでることがあります。 胆汁の通り道や、出口である十二指腸乳頭部という場所に癌ができても黄疸が出ることがあります。
遺伝的な原因によって、血液の中のビリルビンという成分(赤血球に含まれる黄色い色素)が増える病気です、肝臓の機能に障害はありません。 体質性黄疸の中で最も頻度が高いのはジルベール(Gilbert)症候群です。ジルベール症候群は、思春期以降に指摘される黄疸や、検診などの機会に発見されることがほとんどです。過労やストレスで黄疸が強くなったり、食事をしなかったりすると黄疸が強くなることがありますが、治療の必要はありません。予後も良好な病気です。
文字通り赤血球が壊れて溶け出してしまうことによる貧血になります。振動や衝撃が過度にかかるスポーツ、免疫の異常、異常赤血球が作られるようになるといった原因により、溶血性貧血が認められることがあります。 赤血球の正常寿命は120日程度ですので、その前後で赤血球が脾臓や肝臓で破壊されるのは普通ですが、外力や病気によって血管内の若い赤血球が壊れてしまうことがあります。赤血球を包んでいる膜が壊れ、血管内にヘモグロビンなどの成分が流れ出すことを溶血と言います。
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