
胃・十二指腸
胃・十二指腸
胃の粘膜に急性の炎症が起こることで腹痛や吐き気、胃部不快感などの症状を生じます。アルコールやコーヒーの過剰摂取、ストレス、ピロリ菌感染、魚や寄生虫などのアレルギー、鎮痛薬・ステロイド・抗菌薬などの薬剤が原因となります。
食後のむかつき、早期飽満感、重たい焼ける感じなどの不快感がみられ、内視鏡で診ても原因がハッキリとしないのがこの疾患です。機能性ディスペプシアは日本人の10~20%にみられるという報告があり、決して珍しい病気ではありません。しかし、病気であることにきづかないまま放置されていることも少なくありません。治療することで症状が改善でき、食事を楽しんだり味わいながら快適な日常生活を送ることができます。
胃の運動障害
胃には貯留、攪拌、排出の運動機能がありますが、これらの働きに障害が生じると、症状が現れます。
生活習慣
脂肪の多い食品、コーヒー、アルコール、タバコなどの嗜好品、不規則な生活などが胃の症状を引き起こすという報告があります。
ストレス
胃の運動が低下したり、胃が過敏になり症状が現れます。心理的・社会的要因と機能性ディスペプシアは関係があるといわれています。
知覚過敏
胃が刺激に対して痛みを感じやすくなっているため、少量の食べ物が胃に入ることで満腹感や痛みを感じます。
胃酸
胃酸が必要以上にでると、胃もたれや痛みなどが現れます。
生活習慣(規則正しい生活を送り、ストレスから解放されることが大切です。)、食生活(食べ物や食べ方などの見直し)や薬物療法では、胃の動きを改善させるお薬が使われます。また、機能性ディスペプシアは胃炎や食道炎を併発することがあり、胃酸分泌抑制薬や漢方薬などが一緒に使われることもあります。またストレスが強くなり不安症状が一緒に伴っている場合は、抗不安薬を一緒につかわれることもあります。
色々な原因により、胃や十二指腸で粘膜の下の層まで傷ついた状態であり、みぞおちや背中の痛みが生じます。潰瘍が深くなると出血することもあり、吐血や黒色の便がでたりします。早期に内視鏡検査を行い診断し治療を行う必要があります。
ピロリ菌の感染や消炎鎮痛薬(痛み止め)により、胃の防御機能の破綻が生じ、その上に胃酸の刺激が加わって発症すると考えられています。
ピロリ菌は胃の中に住む菌で、胃粘膜の障害を引き起こし、潰瘍を発症させると考えられています。ピロリ菌に感染している場合は、まずピロリ菌の除菌治療を行うことが重要です。ピロリ菌は胃がんの発症にも深く関係しています。
消炎鎮痛薬(痛み止め)や一部の血液をサラサラにするお薬の服用も、潰瘍発症のリスクを高めることが報告されています。これらの薬により胃粘膜の防御機能が減弱し、胃酸によって胃粘膜が障害され潰瘍が起こりやすくなると考えられていますので、服用する際には医師や薬剤師の指示に従いましょう。
ストレス、アルコールや喫煙が原因となることがあります。
食事や生活の中でも普段からこころがけるポイントがあります。
ピロリ菌が陽性の方は、ぜひ除菌治療をお勧めします。内服薬として胃酸の分泌を抑える薬(PPI:プロトンポンプ阻害薬、P-CAB:カリウムイオン競合型アシッドブロッカー、H2ブロッカー:ヒスタミン受容体拮抗薬)や選択的ムスカリン受容体拮抗薬や防護因子増強薬を併用することもあります。
胃潰瘍とは胃の粘膜がただれ、胃壁が傷ついた状態のことで、悪化すると胃に穴が開きます。 胃液と胃壁を守る粘液の分泌量のバランスが崩れることで起こります。大多数がヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)が原因とされていますが、痛み止めなどの副作用も原因として挙げられます。また、ストレスなどでも胃潰瘍が発症します。
40代以上の人が発症しやすく、ピロリ菌に感染していると20~30代の若い人が発症することもあります。
主な原因は、ピロリ菌感染です。鎮痛解熱薬の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による副作用でも胃潰瘍が発症します。健康な胃は、消化に必要な胃酸やペプシンなどに傷つけられないよう、胃粘液を分泌するなど「防御因子」により粘膜表面が保護されています。しかし、粘液や血流が減少して防御因子が弱まると、胃粘膜の保護障害が起こります。防御因子が弱まり胃の壁が損傷されると、胃の壁は粘膜下層よりも深い部分までえぐられ、この状態を「胃潰瘍」といいます。
その他、ストレスや喫煙も胃潰瘍の誘因となります。
胃潰瘍の症状は、原因や、胃の壁の障害の深さによって異なります。初期の段階での典型的な自覚症状は、みぞおちの中央あたりに生じる鈍い痛みです。また、ゲップ、胸やけ、吐き気、胃のもたれ感、腹部膨満感などが生じることもあります。潰瘍がさらに進行して胃壁の血管を侵食すると、出血が起こり、下血(黒色便~タール便)や、吐血の症状が出ることがあります。
出血が原因で貧血を引き起こすこともあります。
十二指腸潰瘍は、十二指腸の内壁に潰瘍(きず)ができる病気です。胃の酸によって十二指腸の粘膜が傷つき、その部分が潰れてしまうことが主な原因となります。特に、胃酸の分泌が多い人や、胃の粘膜を保護する働きが弱まっている人が潰瘍を発症しやすいとされています。
胃と十二指腸は、私たちの消化器系の中心的な役割を果たしており、食べ物の消化や栄養の吸収を助けています。しかし、これらの部位が潰瘍によって傷つくと、痛みや不快な症状が現れることがあります。特に、胃酸が潰瘍の部分に触れると、鋭い痛みを感じることが多いです。
胃潰瘍と十二指腸潰瘍が合併すること(胃十二指腸潰瘍)もあります。
胃十二指腸潰瘍の症状は、潰瘍の位置や大きさ、深さによって異なることがあります。
以下は、胃十二指腸潰瘍の主な症状です。
初期症状
腹痛
特に食事の後(胃潰瘍が多い)や空腹時(十二指腸潰瘍が多い)に痛みを感じることが多い。痛みの位置や性質は人それぞれ異なりますが、上腹部の中央や左側に痛みを感じることが一般的です。
胃もたれ
食事の後に胃が重たく感じること。食事の量に関係なく、胃もたれを感じることがある。
進行した症状
嘔吐
激しい腹痛や胃の不快感が続くと、吐き気や嘔吐を伴うことがある。
吐血
潰瘍が深くなり、血管を傷つけると、血を吐くことがある。吐血は緊急を要する症状の一つで、すぐに医師の診察を受ける必要があります。
黒色便
潰瘍からの出血が消化されると、便が黒くなることがある。これも緊急を要する症状の一つです。
胃十二指腸潰瘍の再発を防ぐため、日常生活の中で気を付けるべき予防方法を以下に示します。
食生活
辛い食べ物やアルコール、カフェインを過度に摂取することは避けましょう。また、定期的な食事を心掛け、過度な空腹を避けることが大切です。
ストレス管理
ストレスは胃酸の分泌を増加させる可能性があります。リラクゼーションや適切な休息を取ることで、ストレスを軽減させましょう。
禁煙
タバコは胃酸の分泌を増加させるため、潰瘍のリスクを高めます。禁煙を心掛けることが予防に繋がります。
胃十二指腸潰瘍の早期発見のため、定期的な健診や内視鏡検査を受けることをおすすめします。早期に発見し治療を始めることで、潰瘍が深くなるのを防ぐことができます。
ピロリ菌は正式名称を「ヘリコバクター・」といい、1983年にオーストラリアのロビン・ウォレン氏とバリー・マーシャル氏の2人の微生物学者(2005年ノーベル医学生理学賞を受賞されました)より発見された、大きさ4/1000ミリ程度のらせん状の細菌で、鞭毛(べんもう)と呼ばれる糸状の突起があり、経口感染によって胃の粘膜に棲みつくと考えられています。
胃の内部は、胃液に含まれる塩酸(胃酸)によって、強酸性であるため、従来は細菌が生息できない環境だと考えられていました。しかし、ヘリコバクター・ピロリはウレアーゼと呼ばれる酵素を産生しており、この酵素で胃粘液中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、生じたアルカリ性のアンモニアで、胃酸を中和することによって、胃の中に生息しています。
ピロリ菌は口から感染し、特に乳幼児期に感染しやすいと考えられています。感染経路はピロリ菌を持っている親や家族から食べ物の口移し、食器の共有などによって感染することが多いとされています。また、ピロリ菌は土壌菌で、土や水に生息しています。上下水道が十分整備されていない衛生環境が悪い時代に幼少期を過ごされた方に感染率が高い傾向があります。衛生環境がよくなった現在では、ピロリ菌感染者の唾液を介した感染が考えられています。感。日本人の世代別感染率は、20代では16%、30代:では28%、40代:34%では50代以上になると69%と報告されています。
ピロリ菌は、一度感染すると除菌しない限り生涯にわたって胃の中に棲みつづけます。ピロリ菌に感染していると炎症が持続し慢性胃炎が生じます。慢性胃炎により胃粘膜が傷害されて、胃酸やペプシノゲンを分泌する胃底腺が 次第に減少してきます。このように胃底腺が減少し、胃酸の分泌が減少 した状態を、慢性萎縮性胃炎と呼びます。慢性萎縮性胃炎の大部分はピロリ菌が原因です。胃がんは、萎縮性胃炎から発生しやすいことが確認 されています。仮にピロリ菌を保持した状態で放置した場合、約17%の人が胃がんに罹患すると言われています。
まれに除菌歴のない方で、胃に高度萎縮がおきるともはやピロリ菌が胃の中に住めなくなりピロリ菌がいなくなってしまうことがあります。このことを自然除菌と言われます。慢性的な胃炎や胃潰瘍を繰り返すなどの症状がある方や、ご家族に胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんを発症された方がいる場合は、ピロリ菌の感染が疑われることがあります。
ピロリ菌に感染している人が全員、重篤な病気を発症するわけではありませんが、ピロリ菌の除菌治療に成功すると、胃の炎症が改善して、ピロリ菌感染に伴うさまざまな病気の治療や予防ができます。とくに、ピロリ菌を除菌することで、最大の課題である胃がんの発症のリスクは半分にまで減少させることができることが明らかになっています。このため、日本ヘリコバクター 学会では、ピロリ菌に感染している場合には疾患にかかわらず、『ヘリコバクター・ピロリ感染症』として治療することを推奨しています。ピロリ菌の感染から年月が経過し、炎症が継続している期間が長い人ほどがんの発症リスクが高くなるといわれていますので、なるべく感染初期の若いうちにピロリ菌を調べ、早期に除菌治療をすることが胃がん予防において有効です。そのほかピロリ菌は、以下の胃ポリープ、胃MALTリンパ腫、血小板減少性紫斑病との関連性も指摘されています。ただし、場合によっては除菌治療に失敗したり、副作用のために治療を中止せざるを得ないこともあります。
ピロリ菌の感染率はほぼ100%と考えられています。ピロリ菌に感染していると、胃粘膜が傷つけられ持続的な炎症を起こす慢性胃炎の状態が生じます。この状態が長く続くことで次第に胃粘膜の萎縮(萎縮性胃炎)が進み、胃酸の分泌機能や胃の運動機能が低下して、消化不良、胃の不快感(胃もたれ・吐き気)、食欲不振などの症状がみられるようになります。また、ピロリ菌の除菌治療により、大部分の萎縮性胃炎 の進行が止まり、萎縮が改善します。このため、慢性胃炎や萎縮性胃炎に対しては胃がんを予防する目的でピロリ菌の治療が強く勧められます。 ただし、除菌後にも胃がんが発症することがあるため、除菌後も胃の定期的な検診を勧めることが望ましいです。
ピロリ菌の感染率は、胃潰瘍で70~90%、十二指腸潰瘍では90~95%と考えられています。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の 8 ~ 9割にピロリ菌の感染が認められ、このためピロリ菌感染のある胃・十二指腸潰瘍に除菌治療を行うと、潰瘍の再発がほとんどなくなり、出血などの合併症も少なくなります。ピロリ菌に感染していると、潰瘍が治ったあと(瘢痕)であっても約7割のかたが1年以内に再発すると報告されていますので、ピロリ菌の感染があれば除菌治療が必要です。
日本人の胃がんの96-99%は、ピロリ菌が陽性の方に起こっています。ほかに胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少症、胃過形成ポリープ、機能性ディスペプシア、鉄欠乏性貧血にもピロリ菌が関連していると言われています。
ピロリ菌の有無を調べる検査には、大きく分けて内視鏡検査を用いる方法と用いない方法があります。これらの検査を複数行い、全てで陰性であったものをヘリコバクター・ピロリ菌「陰性」、1つでも陽性となったものを「陽性」と判定します。
迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が有するウレアーゼにより作り出されるアンモニアによる反応を試薬で調べます。
組織鏡検法
胃の組織をギムザ染色という方法で染色して、顕微鏡でピロリ菌の存在を確認します。病理医に診断を依頼する検査です。
培養法
胃の組織を培養して、ピロリ菌が増えるかどうかを見て判定します。利点として、感染しているピロリ菌の抗菌薬の感受性を確認できます。この感受性の結果で、三次除菌・四次除菌を行う施設もあります(保険適応外)。
尿素呼気試験
検査用のお薬を飲んでいただき、服用前と服用後の息(呼気)にピロリ菌の反応が出るかを調べます。身体の負担が少なく、簡単で感度も高い検査です。ピロリ菌の除菌後の判定にも使用されています。
血液・尿検査(体測定法)
ピロリ菌に感染していると体の中に抗体ができます。血液や尿を採取してこの抗体の有無を調べます。健診や人間ドッグで多く用いられています。
便虫抗原法
便中のピロリ菌の抗原を調べます。身体への負担がなくお子さんも受けやすい検査です。ピロリ菌の除菌後の判定にも使用されています。
通常は 3種類の薬を朝夕2回、7日間服用します。これを一次除菌といいます。一次除菌は、胃酸の分泌をおさえる胃薬(プロトンポンプ阻害薬、カリウ ムイオン競合型アシッドブロッカー)と 2種類の抗生物質(アモキシシリン とクラリスロマイシン)を用います。除菌薬内服終了後、4週間以上あけて 除菌の判定を行います。具体的には、尿素呼気試験や便中抗原検査を用いてもう一度ピロリ菌を調べます。
約70 ~ 90%の方は除菌に成功します。
一次除菌に失敗した場合、もう一度除菌治療を行うことを二次除菌といいます。二次除菌は、一次除菌と同じように、3種類の薬を朝夕2回、 7日間服用します。失敗の原因は耐性菌であることが多いので、一次除 菌で使用した抗生物質を別の抗生物質に変更します。二次除菌では、約 80 ~ 90%の方は除菌に成功します。お薬を服用する期間アルコールは飲めません。
ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎の治療は、初回の治療と二次除菌までが保険適用となっています。二次除菌に失敗した場合、それ以降の治療(三次除菌)については保険適用ではありませんので、治療を希望される場合には「ピロリ菌外来」などの設置されている専門医療機関にご紹介いたします。
除菌治療の主な副作用は以下のものが報告されています。
下痢・軟便
頻度として最も多く、約10~30%の方に起こります。1日2、3回の下痢・ 軟便であれば、薬の量を減らしたり中止したりせず、最後まで薬を飲んでください。ただし、発熱や腹痛をともなうひどい下痢の場合や便に血 がまじる場合は、薬を飲むのを中止して、すぐに相談してください。
味覚異常
下痢・軟便味覚異常 食べ物の味がおかしく、苦味や金属のような味がすることが 5~15% の方に起こります。
皮膚の異常
皮膚にじんま疹や発疹などの異常が現れることがあります。服用中と服用後にあらわれることがあります。
薬剤アレルギー歴のある患者さんは、重篤な副作用が出現することがあります。とくに、除菌薬にはペニシリン系の薬剤が含まれているため、ペニシリンアレルギーといわれたことのある患者さんの場合は、除菌薬は禁忌となります。
ピロリ菌の感染と胃がん発症は大きく関係しているため、ピロリ菌の除菌治療を行うことで、胃がんの発症リスクを50%軽減させることができると言われています。完全ではないため除菌治療を行っても胃がんのリスクがゼロになったわけではありません。除菌後の方は胃粘膜の萎縮が残るため(萎縮性胃炎)、もともとピロリ菌がいない方に比べると、胃がんの発生頻度が高いことがわかっています。また、胃がんの原因はピロリ菌だけでなく、塩分の過剰摂取や喫煙、食生活とも密接に関連しているといわれています。胃がんを早期の段階で見つけるためには、ピロリ菌を除菌した方、除菌に失敗した方や萎縮性胃炎がある方は、1年に1回のピロリ菌が陰性であっても、2年に1回の定期的な胃内視鏡検査が推奨されています。
引用元H. pylori感染の診断と治療のガイドライン2016改訂版
胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序にふえていくことにより発生します。近年胃がんの死亡率は急激に減少しています。これはピロリ菌除菌や内視鏡検診の普及の効果があると考えられます。しかし依然として日本の胃がん罹患率、死亡率はともに高く、安心できる病気ではありません。ピロリ菌除菌や内視鏡検診で予防、早期発見することが重要です。年齢別罹患率を見ると40代後半以降から急激に増加していることがわかります。このため、40代になれば内視鏡検査を行うのがおすすめです。
まず萎縮性胃炎(胃粘膜が萎縮し、厚みが薄くなった状態)になり、その後腸上皮化生(胃粘膜が腸の上皮に置き換わる)が起こり、胃がんに進展していくと言われています。その過程にピロリ菌が大きくかかわっているのです。胃がんにかかった人の胃を調べたところ、ピロリ菌に感染していなかった人はわずか1%もいなかったというデータがあります。つまり胃がんの96~99%はピロリ菌が関与しているとも言えます。
日本人特有の塩分を多く含む食べ物である「味噌汁、漬物、たらこ・いくら、目ざし・塩鮭、塩辛・練りうにをよく食べる人の方が胃がんの発症率が高くなったという研究データがあります。特に塩分量の多いいくら、たらこ、塩辛や練りうには、明らかに胃がんのリスクが高いです。
喫煙は比較的少ない喫煙量でも胃がんのリスクを上昇させます。
代表的な症状は、胃(みぞおち)の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などです。また、胃がんから出血することによって起こる貧血や黒い便が発見のきっかけになる場合もあります。しかし、これらは胃がんだけにみられる症状ではなく、胃炎や胃潰瘍の場合でも起こります。胃炎や胃潰瘍などの治療で内視鏡検査を行ったときに偶然に胃がんが見つかることもあります。また、食事がつかえる、体重が減る、といった症状がある場合は、進行胃がんの可能性もあります。
胃がんは、早い段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合があります。そのため胃がんは早期発見が重要で、早期に発見出来た場合は内視鏡治療(胃カメラを使って、胃の内側から切除することができます。)が可能となります。この治療の病理診断で、がんが一番表面の粘膜層に限局していれば、転移は非常に少ないことが分かっており、それ以上の治療は必要ありません。手術により胃を失うこともなく早期に元の生活に戻ることができます。このため定期的に胃カメラ検査を行うことが大切です。
アニサキスは、マリンフードを中心とした食事を通じて人間に感染する寄生虫の一つです。その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。主に生の魚介類(主にサバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシなどの青魚、サケやイカなど)を食べた際に、その中に含まれているこのアニサキス幼虫が原因で感染します。この寄生虫は、魚やイカなどの海洋生物の体内に生息しており、人間が感染すると、主に胃や腸に寄生します。
アニサキスの起源は、海洋生物の間での食物連鎖の中で繁殖していることが知られています。小魚がプランクトンに寄生しているアニサキスの幼虫を摂取し、その小魚を食べる大きな魚やイカが次の宿主となります。そして、その魚やイカが人間に食べられることで、感染が広がっていくのです。人間に感染する経路としては、生の魚介類を食べることが最も一般的です。特に、刺身や寿司、タルタルステーキなどの生食がリスクとなります。加熱調理や冷凍保存を適切に行うことで、アニサキスの感染リスクは大幅に低減します。
アニサキスに感染すると、その症状は感染部位や個人の体質によって異なりますが、以下のような症状が一般的に報告されています。
これらの症状は、感染後数時間から1日以内に現れることが多いです。特に生の魚介類を食べた後、上記のような症状が出た場合は、アニサキスの感染を疑うべきです。
これらの症状が現れた場合、早急に医師の診察を受けることが推奨されます。
アニサキスの症状は、食中毒や胃腸炎と似ているため、正確な診断が必要です。特に、生の魚介類を食べた後の症状であれば、アニサキスの可能性が高まります。
アニサキス感染の治療方法は、感染の程度や症状の重さによって異なりますが、以下の方法が一般的に行われます。
症状が軽度で、アニサキスの幼虫が自然に排出されることが期待される場合は、症状を和らげるための薬物治療が行われます。痛み止めや消炎剤が処方されることが多いです。
アニサキスの幼虫が胃や腸に寄生している場合、内視鏡を使用して直接摘出する方法が選択されます。この方法は、内視鏡が得意な医師にとっては特に効果的で、患者にも大きな負担をかけずに治療を行うことができます。
アニサキス感染が進行し、内臓に重大なダメージを与えている場合や、内視鏡での摘出が困難な場合は、手術治療が必要となることがあります。
アニサキス感染を予防するための方法は、以下の通りです。
アニサキス感染のリスクが高いと考えられる方は、定期的に医師の診察を受けることで、早期発見・早期治療が可能です。
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